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アメリカントラディショナルタトゥーのデザインと意味
日本の歴史に古くから関わりのある和柄の様に、アメリカントラディショナルタトゥーはアメリカ人の人々が古くから慣れ親しんだスタイルです。
1800年代後半に世界を旅した船乗りたちがタトゥーの技術とデザインを太平洋から持ち帰り、1900年初頭頃からそのデザインが改良され水兵たちに広がっていったと言われています。
太いアウトラインや鮮やかな色彩はアメリカを象徴するタトゥーとなりました。
船乗りたちは航海での危険から身を守ってくれるお守りの様な意味を込めてタトゥーデザインを選んでいました。
アメリカントラディショナルタトゥーで人気のデザインと意味を紹介します。
ツバメ
アメリカントラディショナルのデザインの中で、女性にも男性にも人気があるデザインがツバメです。
船乗りが5000マイルを航海すると一つ肩にツバメのタトゥーを彫り、10,000マイル航海するともう一つ、両方の肩に彫り航海の記録としたと言われています。
またツバメを見たら港が近いサインであり即ち航海が成功した事を意味するので、これが転じて幸運の意味を表すとも言われています。
他にもツバメはつがいで行動する事から家族への愛と忠誠を意味すると言ったものもあります。
薔薇
薔薇だけを彫ったタトゥーデザインも多いですが、アメリカントラディショナルスタイルには薔薇と十字架や薔薇の周りにリボンをまとわせたデザインなども古くから定番のデザインとなっています。
昔の船乗りたちは愛する妻や恋人や母親を思い出すために薔薇のタトゥーを彫り始めたとも言われています。
「Rose of No Man’s Land」と呼ばれる有名な薔薇のタトゥーモチーフがあります。
薔薇の中に看護婦が描かれているのですが、これは第一次世界大戦の最前線にいた赤十字の看護婦へのオマージュとして創作された曲のジャケットカバーが元となっているそうです。
介護者への愛と感謝を象徴いていますので、自分が個人的に敬意を表したい誰かを想ってローズオブノーマンズランドのタトゥーを彫るのも良いです。
十字架
アメリカ人の4人に1人はキリスト教徒とも言われています。
キリスト教徒が多いアメリカではキリスト教に関係する様なモチーフもオールドスクールなデザインで多く見られます。
その一つが十字架です。
神への愛や復活の象徴として彫られる事が多いです。
そんな十字架にもアメリカントラディショナルならではな伝統的なモチーフがあります。
「Rock of Ages」と呼ばれる十字架が描かれたモチーフです。
ロック・オブ・エイジズにまつわる物語は1763年に始まります。
ある牧師が嵐に遭いますが、岩の裂け目に逃げる事が出来ました。
その幸運な出来事から讃美歌を作りました。
日本語では「千歳(ちとせ)の岩」と訳されます。
その約100年後にこの讃美歌を元にした絵が描かれました。
それが現在タトゥーデザインで多く見られるロック・オブ・エイジズの原型です。
荒れ狂う海の真ん中で石の十字架にしがみつく女性の絵です。
この画家は作品の意味などを後世に残さなかったため、本来の意味と言うのは分かりません。
ですが、「罪の海で希望を失い、ただ十字架(キリストの体)にしがみついている失われた魂を表している」と言った解釈や
「溺死した夫の死を受け入れられず、嵐の中にもかかわらず最愛の人の墓にしがみついている。そのため背景に沈みゆく船が描かれている」と言ったものがあります。
また「荒れた海に投げ出された少女が天に祈ると一枚の岩の十字架が出てきて救われた」と言ったものもあります。
このモチーフは自分自身(宗教なども)をしっかりと信じることができれば、どんな困難にも打ち勝つことができるという希望と確信を反映しているのかもしれません。
船乗りたちがこのモチーフを好んで背中一面に彫った理由は、鞭打ちをされる刑から逃れられるからとも言われています。
誰もイエス・キリストの像を鞭で罰することは出来ないと考えたからだそうです。
ファラオの馬
「Pharaoh’s horses」と呼ばれるデザインです。
3頭の荒ぶる馬の首から上の頭が描かれたJohn Frederick Herring Sr.(ジョン・フレデリック・ヘリング)による作品がタトゥーデザインの元となっています。
ヴィクトリア女王のお気に入りの画家だった彼は女王が飼っていたアラビア馬を得て、その馬をモデルに毛並みや鼻孔の膨らみまで完璧に描写したこの「ファラオの馬」の絵を描くことが出来ました。
このファラオの馬のデザインをタトゥーとして彫る意味は人それぞれ異なり、「力強さ」や「自由」を表す人もいれば、「高貴さ」や「誇り」を象徴する人もいます。
さらにはデザインに描かれた3頭の馬から、人生のさまざまな側面(過去、現在、未来)を表す方もおられます。
アメリカントラディショナルならではのタトゥーデザインも沢山ありますね。
デザインの意味を知るともっとそのデザインが好きになりますよね。
素敵なタトゥーに巡り合えます様に。
当スタジオのある大阪の場所は、1970年頃にアメリカから輸入した服や雑貨などを販売するお店が増えたことから「アメリカ村」と名付けられたそうです。
アメリカントラディショナルっぽさはあまり感じませんが、ビルの屋上に自由の女神像などもありアメリカっぽさは感じる事ができるかも知れません。